STEM教育を取り巻く動向と課題

 Society5.0の実現と発展には欠くことのできない基礎能力、永遠に引き継いでゆかなければならない基礎能力の分野として「科学:Science、技術:Technology、工学:Engineering、数学:Mathematics」の4領域が挙げられています。これらの英語頭文字からSTEMと呼ばれています。

米国の動向

 STEMは、東西冷戦期の1957年スプートニックショックまで遡った歴史があると言われています。米国内において科学技術に関わる能力を国家レベルで向上させる動きが長年続きました。オバマ政権下でSTEM分野の能力を持つ人材を他国に先立って増員させる動きになり、科学技術分野の国際競争力で優位に立つための国家戦略として取り上げられました。
 多額の国家資金を投じてSTEM分野の教師を10万人増強させて、高校卒業までの学生の50%がSTEMを経験し、10年間でSTEM分野の大学卒業生を100万人増強させる計画を打ち出し、STEM能力を有する人材の訓練制度の確立を目標に現在も継続しています。

日本国内の動向

 “日本は理科離れが進む”と経団連の苦言が端を発し、「ICTによる経済社会の発展にはSTEM分野の能力向上が喫緊の課題である」とされてSciety5.0の提言の中で危機感を訴えています。このことを契機に文部科学省や経済産業省がSTEM分野の能力向上に動き始めました。
 2019年の現在では、IT関連ビジネスが拡大する中、2020年に36.9万人、2030年に78.9万人のIT人材が不足すると経済産業省が予測し、IT人材増員の動きが活発化しています。中でも、2020年度から国内の小中校生に対してSTEM基礎力の向上を狙う科目を必修化するなど低年齢層から理工系人材の裾野拡大を図る動きがあります。また、埼玉大学教育学部は、STEM教育研究所を設立してSTEM分野の教師育成に注力しています。
 民間では、低年齢層向けに学習塾形式でプログラミング教室の開設事例が相次いでいます。インドと日本の交流団体の中で、現地に日本からSTEM講師を派遣する国際的な事例も現れ出しました。いずれもが低年齢層向けや教師育成の事例であり、企業の成長戦略と理工系学生の就職を繋ぐ産業人材の不足を巡る取り組みにSTEM教育を取り入れた事例は未だ少ないのが現状です。

 課題解決への一案として、遠隔教育を取り上げます。遠隔教育は、英会話学習を代表に語学系の教育場面ではインターネット介すことで音声や画像によってインタラクティブに実施するモデルが確立されています。STEM分野の実習的な要素を含むモデルには困難とされています。

STEM教育の特徴と課題

 STEM分野の教育科目は電子工作や回路設計のように現物教材を使った構成論的な実習形式が多くあります。一般的に徒弟制度のように顔を突き合わせたマン・トゥ・マン方式の育成です。しかし、場所が離れた場合は、常に顔を突き合わせることができません。日本は、今後、労働人口不足の解決策を外国人労働者へと期待感が高まっています。後継者育成の観点からからも外国人への技術伝承も必要となります。しかし、国情や文化の違いから技術伝承を阻害する要因が増し多くの時間と労力を費やすことになります。

課題解決への糸口

 課題解決への一案として、遠隔教育を取り上げます。遠隔教育は、英会話学習を代表に語学系の教育場面ではインターネット介すことで音声や画像によってインタラクティブに実施するモデルが確立されています。そこで、STEM分野の実習的な要素を含むモデルに遠隔スタイルでの人材育成のモデルの可否を確認してまいります。